日時:1月31日(土曜日)13時30分から16時30分
場所:オンライン開催
コーディネーター&パネラー:成田一(大阪大学)、蔦田和美(関西外国語大学)
特別講演『非母語英語の時代における「国際英語」教育』日野信行(大阪大学:追手門学院大学)
(13時40分~14時30分)
『AI時代の英語エッセイ指導:スピーキングを取り入れたレベル調整の試み』小田登志子(東京経済大学)
(14時30分~15時10分)
『立命館大学プロジェクト発信型英語プログラムにおけるAIの活用』後藤秀貴(立命館大学)
(15時10分~15時50分)
休憩(15時50分~15時55分)
パネル討論:全体討論(15時55~16時30分)
参加費:無料、参加申し込み期限1月25日:学会HP参照。
問い合わせ先:事務局orchid-e@kcc.zag.ne.jp
https://forms.gle/vw9Yh87MEX19WAfZA
にアクセスのうえ、1月25日までに参加申込をお願いいたします。1月28日までに当日開催用ZoomのIDをお知らせします。なお、講演はYouTubeで配信予定。
シンポジウム『英語教育ー時代を超えて』要旨
特別講演『非母語英語の時代における「国際英語」教育』日野信行
英語が母語話者の枠組みを超える「国際英語」という現象は、日本では特に関心が強く、1970年代からすでに注目を集めている。また今日、インターネットでの言語使用をはじめとして非母語英語を含む多様な英語が身近な存在となり、この現実を反映する形で、学界においてもEIL, ELF, WE, GE等の視点から国際英語の研究は世界的にきわめて盛んである。この情勢の下では、国際英語の教育的側面についてある程度の知識を持つことは、今や英語教員に不可欠な素養の一部となりつつあると言えよう。本講演では、国際英語の教育に長年取り組んできた者として、理論と実践の両面から、「国際英語」教育の重要なポイントを提示したいと思う。国際英語による多文化共生の理念から、国際英語の教材・教授法・モデルの態様、実際の授業実践、さらに「国際日本語」の可能性やAIの影響等についても言及したい。
『AI時代の英語エッセイ指導:スピーキングを取り入れたレベル調整の試み』小田登志子
学生が英語エッセイを作成する際に、AIが出した難しい英語表現を利用し、自分自身が内容を十分に理解していないことがある。これは望ましい姿ではない。水本(2025)が提唱するように、AIの力を借りてもよいのは、学習者自身が読んで理解できる範囲(Receptive Competence)の英語である。学生にAIの利用を許可しつつ、自身の習熟度にふさわしい英語を取捨選択させるにはどうすべきか。本発表では、スピーキングを取り入れた英語のレベル調整の試みについて報告する。学生に英語エッセイを課す際、AIの使用を許可しつつ、①エッセイを音読した録音の提出、②授業内でエッセイの内容を確認する質問への口頭回答を求めた。すると学生は上手に読めない英語や質疑応答で困るような内容を避けるようになった。さらに、質問役をAIに委ねると、質問が豊富になり、対話の臨場感が増した。発表では、質問役をAIに委ねる際のコツや対話に教員が介入すべき場合についても考察する。
『立命館大学プロジェクト発信型英語プログラムにおけるAIの活用』後藤秀貴
本発表では、立命館大学プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)におけるAI活用について、「プログラムとしての取り組み」と「教員個人の実践」という二つの観点から報告する。PEPでは、全受講生が利用できる機械翻訳サービスの提供やAI活用ガイドラインの作成・運用に加え、教員同士がAIに関する情報や意見を気軽に共有できる環境づくりを進めている。一方で、各教員はこうしたプログラム全体の枠組みを踏まえつつ、担当クラスで自身の裁量によりAIを活用した指導実践を行っている。本発表では、共通英語科目におけるAI活用の組織的な取り組みが、教員個人の実践とどのように相補的に機能しているのかを検討する。急速に発展し続けるAIを教育で活用していくにあたり、個々の教員の創意工夫を尊重しながら、組織(プログラム)としての教育の公平性・一貫性をどのように維持・担保していけるのかを、参加者とともに考えるきっかけとしたい。