更新日:2018/05/11

第15回 英語教育総合学会

日時:6月9日(土)13:00-17:20
場所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア大阪 10F

シンポジウム
小学校の英語教科化と中学の連携
-新教材 We Can! でどう教えるか-

コーディネーター&コメンテーター 成田一(大阪大学)

「新教材にみるこれからの小学校英語-何を、どんなふうに教えるか」田縁眞弓(京都ノートルダム学院小学校)

「小学校外国語新教材における語彙の取り扱いに関する調査」齋藤聖史(高知県四万十町立田野々小学校)

「これからの小・中接続した文字指導の在り方-バランスト・アプローチによる系統性のある読み書き指導を」畑江美佳(鳴門教育大学)

「小学校外国語科における文字と音の扱い-どのように、そして、どこまで」池田周(愛知県立大学)

「音声やことばへの気づき-We Canの指導ポイント」今井淳子(OBK児童英語講師自己研鑚の会)

「第二言語コミュニケーションの学習適性を測定する復唱 (シャドーイング)力」門田修平(関西学院大学)

全体討論


資料代 500円、どなたでも参加可能。一般の方歓迎。直接会場にお越し下さい。
懇親会(3000円±500円)にご参加の方は5月20日までに連絡ください。

連絡/問い合わせ 事務局 orchid-e [AT] kcc.zaq.ne.jp (メール送信の際は [AT] を @ に変更してください)

シンポジウムの理念と概要

2020年より小学校高学年では英語が教科化され、中学年では外国語活動が実施されるが、それまでの移行期には高学年で文科省の教材『We Can!』が、中学年で文科省の教材『Let’s Try』が使用される。シンポジウムでは、教材『We Can!』の特徴を分析すると共に、小学校におけるそれを使った効果的な指導法について検討し、中学校における英語教育にどのように連携していくべきかを考えたい。なお、全体討論では、高校における「英語で授業」の実情についても意見交換の予定がある。

田縁講師:移行期間に使用される文科省の高学年教材『We Can!』が、中学年教材の『Let’s Try!』とともに小学校現場に、この春届けられた。その内容に関して、文科省が挙げる8つのポイントに従い、その具体的な指導法を考える。また、4月から実際にその教材を小学校現場で使用している立場から、児童の取り組みの様子を報告する。

齋藤講師:移行期間中に使用される小学校外国語教育の新教材『Let’s try!1・2』『We can! 1・2』を対象に、語彙の使用頻度について調査を行った。本発表は、新教材において使用されている語彙の出現頻度の実態を紹介するとともに、調査結果から見えてくる傾向や特徴、語彙指導に関わる課題や留意点等について報告する。

畑江講師:新学習指導要領を受け、今後小学校高学年から、大文字・小文字の読み書き、音声と文字とを関連付け、推測しながら読んだり,語順を意識しながら語句や表現を書き写す、などの指導が行われる。本発表では、小学校でのこれらの指導法、そして、読み書きの指導を受けてきた児童を、中学校でどのように伸ばしていくべきかについて考える。

池田講師:本発表では、まず、新小学校学習指導要領およびその解説から、外国語科における「英語の文字に関連する学習内容」を読み取る。その上で、小中連携を踏まえながら、新教材『We Can! 1・2』を用いてどのような形で、どのような側面について、どの段階まで指導を行うべきかについて具体的に考察、提案する。

今井講師:単に、語や文の繰り返しや丸暗記を求めるような授業の進め方では、児童の不安を高めたり、浅い学びになってしまう。深い学びにするためには、「音声・ことばへの気づき」を大切にしたい。児童が主体的に深く学ぶために、「観察・比較・外部化・協働的な気づき」のプロセスを経て、母語である日本語と英語への理解を深めたい。

門田講師:言語適性は、生まれつき人が持つ言語学習能力で、外国語の習得に影響力を持つとされている。インプット音声の復唱力を鍛えるシャドーイングには、コミュニケーションの多重処理やそれを制御するメタ認知能力の促進効果が期待できる。適性テストとして今後小学校英語教育への導入の可能性を模索したい。