更新日:2017/07/30

第14回 英語教育総合学会

日時:9月10日(日)13:00-17:20
場所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア大阪14F

シンポジウム
明示的な文法と発音の指導
―最前線の研究と教育実践―

コーディネーター&コメンテータ 成田一(大阪大学)

「明示的な指導による堅実な習得」成田一(大阪大学)

特別講演「基礎定着のための効果的な文法学習を考える」鈴木祐一(神奈川大学)

「日本中の高校生を変えたラウンド授業」幸前憲和(クロスインデックス)

「教え込まない体験型学習法~良質なインプットで気づきを促す~」伊藤美幸(大阪教育大学院生)

「児童向けの明示的な文法指導・音声指導」池亀葉子、今井淳子(OBK児童英語講師自己研鑚の会)

「第二言語(英語)の顕在的・潜在的学習の仕組み」門田修平(関西学院大学)

全体討論

参加費 500円、どなたでも参加可能。一般の方歓迎。直接会場にお越し下さい。
懇親会(3000円~4000円予定)にご参加の方は8月10日までに連絡ください。
連絡/問い合わせ 事務局 orchid-e [AT] kcc.zaq.ne.jp (メール送信の際は [AT] を @ に変更して下さい)

シンポジウムの理念

文科省はコミュニケーション能力ばかりを強調するが、英語との言語差が極めて大きい日本語を母語とする学習者が全く異なる文法と発音を明示的に学び、これを自由に運用する処まで訓練して、やっとコミュニケーション能力の言語的な基盤が出来上がる。 「明示的に学び、これを自由に運用する処まで訓練」というプロセスは学習者が個人でやれないこともないが、授業の中で教師が指導する場合、ラウンド教育が必要になる。
ただし、授業時間には限りがあるので、文法は3回目以降の訓練は学生が個人的に行うことが望ましい。発音は学生の発音が正しくなるまで教師がアシストすることが必要だ。それ以降のブラッシュアップは学生自身の努力に依るしかない。多聴、多読も運用の基盤となる文法の定着には不可欠だ。
なお、言語獲得期の幼少期には適切なインプットがあれば、日本人でも英語の習得が意識下で進行するので、そうした素材を与える環境に置くだけで良いが、それに相応しいDVDが大阪府の委託で幼児英語教育に実績のある企業が1年半に渡り3000人の児童に実践研究を実施し制作しているので、それも紹介したい。ただし、週に数時間の幼児英語教育の場合、インプット量が限られるので、明示的な文法に相当する典型的な例文により潜在的な文法習得のプロセスを後押しする補強教育が必要だ。その実践団体にも報告いただく。

シンポジウム「明示的な文法発音教育の効果」では、以上のことを巡る様々な教育について理論と実践の両面から具体的に論じる。フロアの参加者との質疑応答の全体討論には45分ほど予定している。

講演概要

成田:英語との言語差が極めて大きい日本語を母語とする学習者は、全く異なる文法と発音を明示的に学び、自由に運用する処まで訓練してこそ、コミュニケーション能力が身に付く。

鈴木:高校生が中学英語をどれくらい使いこなせるかを調べた調査結果を報告し、中学の基礎的な文法知識をどのようにして定着させれば良いかを第二言語習得の観点から考える。

門田:顕在・潜在記憶の形成過程を踏まえ、第二言語の潜在的学習法としての多聴・多読とその理論背景として有望な用法基盤モデルについて検討したい。

幸前:徹底多聴多読ラウンド制授業を中心にした長期実践データと教育科学・認知科学の知見などから導き出した人の学習メカニズムの核心にも踏み込みたい。

伊藤:学級担任が短時間学習を活用して、児童の成長に合わせた良質で多量のインプットを繰り返し積み上げ、段階的に4技能を伸ばしていく指導法を紹介する。

池亀・今井:グラスルーツでは Visual, Auditory, ImaginKinesthetication, Logic を組み込む multimodal な文法、文字・音声指導により体で感じ心が動く事で学びを深めロジックへ繋げる。

特別講演内容:日本の高校生を対象とした調査では、中学校で学んだ基礎的な文法能力の定着が十分でないことが明らかになっている(金谷2017)。このような調査結果から、以前に学んだことを定着させるために繰り返し練習を行う必要があると言えよう。第二言語習得(SLA)研究から、繰り返し練習を効果的に行うために、いつどのように繰り返し練習をデザインすれば良いかを提案する。実証的な研究結果から、クラスルームでの言語活動とカリキュラムへの示唆について考える。