更新日:2014/07/19

第8回 英語教育総合学会

日時:8月7日(木)13:15-17:15
場所:関西学院大学大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア大阪(アプローズタワー14階)

シンポジウム
日本人の脳と英語の習得と運用

特別講演 「脳科学からみた母語獲得と外国語学習」萩原裕子(首都大学東京)

「英語学習におけるシャドーイングの効果:インプットとアウトプットを繋ぐ」門田修平(関西学院大学)

「音読・速読による脳内文法操作の高速化」成田一(大阪大学)

全体討議
『(英語での授業を阻む)運用のハンディを越えられるか』

参加費:500円
一般の方の参加歓迎。直接会場にお越し下さい。駐車場はありません。
問い合わせ:事務局 orchid-e [AT] kcc.zaq.ne.jp (メール送信の際は [AT] を @ に変更してください)

シンポジウムの理念

日本の中高の英語教育は、コミュニケーション偏重の中、文法・語彙だけでなく発音教育までが軽視され英語基盤が脆弱化したが、昨年から高校で「英語での授業」が始まっている。文科省は「外国語教育の目標はコミュニケーション力の養成だけである」と断じているが、基礎学力が育成されないままこうした授業形態を採っても、目標は達成できない。本シンポジウムでは脳科学における外国語獲得と学習についての最新の知見を紹介するとともに、脳内言語処理の観点から、日本人にとって効果の期待できる英語運用力の育成方法を理論と実験の両面から探り、今後の「日本の英語教育の姿」も展望しつつ、激動する英語教育の現状への対応を考えたい。

講演概要

萩原講師:外国語の学習は、母語を獲得するようには容易ではない。日本人にとって英語習得の難しさは、言語構造の違いや学習環境の乏しさと考えられているが、外国語の学習は脳の可塑性によるところが大きい。母語であれ外国語であれ、人間が言語機能を獲得する際に、脳内でどのような変化が起きているのだろうか。講演では、脳の発達と言語習得の神経基盤をもとに、母語獲得と外国語習得のプロセスの類似点と相違点について概観する。

門田講師:第二言語習得理論は、学習者のインプットおよびアウトプット活動を通じて、英語を「知っている」から「できる」状態に変貌させることの重要性を明らかにしている。しかし、インプットをアウトプットに結びつけるには、その中間に音声言語をターゲットにした豊富なプラクティス(反復プライミング)が必須になる。講演では、音読と並んで、このトレーニング効果が期待できるシャドーイングを取り上げ、その効果について論じる。

成田講師:言語獲得期を過ぎてからの英語学習は日本人にとって極めて大きなハンディで、コミュニカティブ・アプローチなど、欧米で成功した学習法をそのまま適用しても無理がある。単に言語構造の違いではなく、日本語にないWH移動や数、時制の一致のような瞬間的な操作が乗り越えがたい壁となっている。従来、言語差を扱った論考においても、具体的に何が問題か探った例はない。講演では、瞬間的操作を念頭に、日本人に相応しい英語教育を論じる。

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