場所:Zoom開催。Google Forms https://forms.gle/dQ4BzMSC2bhQzk5Y6
にアクセスのうえ、10月20日までに参加申込をお願いいたします。
(英語教育総合学会ホームページ(「概要」と共に)にも掲載)
10月31日頃までに当日開催用ZoomのIDをお知らせします。
コロナ禍におけるオンライン英語授業の工夫
現場からの報告 13:30-15:20
2 オンライン授業による英文解釈授業の一考察 森田真(大阪電気通信大学)
3 【COVID-19】に関連させたオンライン授業内におけるCLILとしての工夫 山西敏博(長野大学)
4 GIGAスクールにおけるデジタルポートフォリオの実践 今西竜也(京都教育大学附属京都小中学校)
5 Zoom、ロイロノート・スクールを使ったコロナ禍における英語授業 植松知奈美(関西学院初等部)
招待講演 15:25-15:55
全体討論 16:00-16:30
参加費 英語教育総合学会 会員・非会員共に無料、どなたでも参加可能。
連絡/問い合わせ 事務局 orchid-e [AT] kcc.zaq.ne.jp (メール送信の際は [AT] を @ に変更してください)
概要
現場からの報告
辻岡:COVID-19の感染拡大に伴い、従来の対面授業からオンライン授業に移行をする大学が増え、教育の現場では様々な試みがなされてきた。発表者の所属大学では、今年度から対面授業を基本としているが、すべてオンデマンドの授業や、Zoom、オンデマンド、対面授業を併用したハイブリッドの授業も展開している。この発表では、発表者の担当した授業に基づいて、英語の授業をハイブリッドで実施することに関し得られた知見を整理、共有していきたい。具体的には、使用教科書、アイスブレーカーとしてのオンラインゲーム、課題や成績の管理、評価方法、学生の様子、さらにハイブリッド授業のメリットやデメリットについて述べたい。
森田:昨年度、大阪電気通信大学でリーディングの授業をMeetで担当。次の3点の工夫をした。(1)パワーポイントを駆使し、名詞を緑色、動詞を黄色、形容詞と副詞を空色、前置詞を鼠色にして、それぞれ下に逐語訳を貼り、名詞節は[ ]、副詞節は< >、形容詞節は( )で括ることを視覚的に徹底した。解説後はスラッシュリーディングによるリピートを徹底し英語の語順での理解を促した。(2)授業中に名簿を見ながらランダムに指名しチェックを入れることで平等に発言機会を設けた。翻訳ソフトに頼れないように単語の品詞や質問の意図など和訳以外の質問をした。(3)テストでは教科書は持ち込み可とし、学習した長文を使って問題はオリジナルで作成した。記述式で文中の表現を使った英作問題や個人の見解を尋ねる問題で50問出題し時間は25分とタイトなものにし、学生同士の意見交換を難しくさせた。
山西:オンライン授業で独自に工夫したこと:CLIL(内容言語統合型学習)を専門の一つとして取り組んでいる発表者にとして、【COVID-19】にテーマを絞り、その内容と英語教育との統合を図るという工夫をした。具体的には、以下の3点である。(1)小池東京都知事が発した「東京都内で最多数のコロナ患者(当時)」を出した時の、英語による発表をYouTubeで流し、そこから発せられた専門用語(「陽性・陰性」「緊急事態宣言」「行動制限」など)を抽出したり、内容を聴き取ったりさせながら【現代社会に起こっている時事問題(ここではCOVID-19蔓延に関する東京都の対策)】に対して、英語による聴き取りと読解をさせる。(2)【COVID-19】に関連する英語の曲(替え歌)を「基本編・中級編・上級編」として、各2曲ずつを取り上げる。そのうえで、それぞれの曲の原曲と替え歌の歌詞の内容を比較、吟味しながら、英詩にも関連する「韻・リズム」にも焦点を当てて、考えさせる。(3)それらを聴かせた後に、自身の印象を日本語・英語で記させる。その際に、それぞれの歌詞の背景を考えさせながら、持論を英語で記すという「発信型英語」表現を身につけさせる。
今西:GIGAスクールの取り組みによって1人1台の端末と高速インターネット環境が整い、デジタルポートフォリオの実践に取り組んだ。従来の紙媒体におけるポートフォリオの特性に加え、画像、音声、動画を用いることができることと、ネットワークを使って学級・学年を超えて共有し互いにフィードバックを与え合うことを可能とした。特別な予算を用いず、操作の研修等も省くため、特化したアプリではなく一般的に多く使われているGoogle Workspace for Educationの機能を使ったデジタルポートフォリオの取り組みと生徒の変容を示す。
植松:コロナ感染拡大により臨時休校・学年閉鎖・学級閉鎖が相次ぐ中、学習保障のため、まずYouTubeを使って授業動画配信を行った。続けるうちに学校側からの配信だけでは児童の理解度が把握できず、質問にも対応しにくいことが問題点として挙げられた。そこで、双方向授業を可能とするZoomを取り入れ、個々の児童の授業参加時の様子を確認したり教師とのやり取りを行ったりする授業に移行していった。さらに、課題配布や音読・文法学習に関する宿題等の提出に使えるロイロノート・スクールを併用した。1人1台のiPadを所有する私立小学校でのオンライン英語授業の効果と課題についての発表。
仲田:新型コロナの感染拡大防止のため、2020年4月から2022年8月までZoomと複数のアプリを併用し英語の授業を行った。対面授業は中間試験時に許可がでた際に、学期中1回だけ行った。授業前に、LineとPadletを利用し、授業内容や発表担当について連絡、LoiloNoteに資料投函した。授業ではZoomの画面共有で、ニュースやインタビュー画像を視聴し、iPadにもリンクさせLoiloNote上の学生の資料にApple Pencilで書き込みながら説明し、授業で学習した内容についてZoomのBreakout Roomで学生同士が話し合いをした。授業後は、授業資料をLoiloNoteに投函、課題を一斉配布し、添削後、一括返却を行った。時間制限機能等がついたアプリ、Kahootを単語テストに、Bookwidgetsを学期末試験に利用した。発音指導やスピーチ課題は、LoiloNoteの録音・録画機能を活用した。また、学期の総仕上げに学習内容からテーマを学生達が選び、グループ・プレゼンテーションをZoomの中でパワーポイントやLoiloNoteを使用して発表を録画したものを、クラス全員で観た後、LoiloNoteのアンケートで集計し、改善点について意見交換した。ICTに不慣れな一教員であったが、Zoomの講習会を受講しながら、教室での授業とほぼ同じ学習内容(Reading, Listening, Writing, Speaking)を扱い、実施することができた。
梅咲:英語リーディングの授業を対面からZoomに切り替えることで、最も効果的に行えたのは、パラグラフごとに何が書かれているかを素早く理解する練習である。つまり、様々なテキスト構成の理解であり、各筆者の主張や情報を的確にとらえる訓練であったと考えられる。従来から、教室では、オリジナルの論説文、インターネット掲載の報道記事、法律文、レシピ、論文要旨などを読み、コーパス利用法紹介や学生個人のリーディングの録音を行ってきた。まず、従来の教室授業をZoomに置き換えを考える際、日本語訳に授業時間の大半を割く授業からの脱却ができた。対面とZoomを対比しながら、Zoomによる授業の長所と短所を考察する。
招待講演
靜:コロナ禍に見舞われて2年半あまり、我々は対面でなくともさまざまなことが可能であることを学んだ。本講演ではとくに「オンデマンド」授業の良い点を語りたい。いまやすべての授業でオンデマンドオプションを完備するべきである。時間も場所も選ばず、通信環境を気にすることもなく、そして教室に来なくても学べるオンデマンド授業を、オルターナティブとしてまたプラスアルファとして完備しておくことで、さまざまな種類の問題が解決される。即時のフィードバックはできなくとも毎週のフィードバックで十分に効果的だ。学生アンケートの結果をもとに望ましいオンデマンド教材の特性を論じ、また講演者の作成したオンデマンド動画の一部を紹介する。