更新日:2013/07/18

関連学会 / 書籍出版のお知らせ


平成25年度 公開講座「教員のための英語リフレッシュ講座」

日時:平成25年8月5日(月)~8月9日(金)
会場:大阪大学中之島センター
問い合わせ:言語文化研究科 外国語学部 豊中事務室 総務係
E-Mail: genbun-soumu [AT] office.osaka-u.ac.jp
(メール送信の際は [AT] を @ に変更してください)


第12回 英語教育セミナー

日時:2013年7月20日(土)
場所:関西国際大学尼崎キャンパス
参加費:無料
詳細はパンフレット(日本語・PDF)、またはセミナーのウェブサイト(英語)をご参照ください。


成田先生のご著書『日本人に相応しい英語教育』が出版

英語教育総合学会代表・成田一先生(大阪大学名誉教授)のご著書『日本人に相応しい英語教育』が今週末出版されますので、合わせてご案内申し上げます。(全国の書店で販売)

書籍情報(PDF)
ご著書装丁(PDF)

第6回 英語教育総合学会

日時:8月24日(土)13:00-17:00
場所:大阪大学 大学院 言語文化研究科 A棟 2F 大会議室(豊中キャンパス)

特別講演
この国の言語教育政策を考える-対症療法から原因療法へ-
大谷泰照(大阪大学名誉教授)

シンポジウム
グローバル企業と政治家が歪める英語教育

基調講演 超国家企業と政治家が破壊する学校英語教育
江利川春雄(和歌山大学)

「英語で授業」と「入試にTOEFL」で壊れる現場
成田一(大阪大学名誉教授)

「英語で授業」への対応の現状
佐渡正英(熊本県立荒尾高校)

実務では英語より専門性が重要
松岡徹治(関西家電メーカ)

全体討議

参加費:500円 茶菓子提供。懇親会費:1000円
一般の方の参加歓迎。直接会場にお越し下さい。
問い合わせ:事務局 orchid-e [AT] kcc.zaq.ne.jp (メール送信の際は [AT] を @ に変更してください)

シンポジウムの理念

日本の英語教育では、コミュニケーション偏重の中、文法・語彙だけでなく発音教育までが軽視され英語力が低下したまま、高校で「英語での授業」が始まり、現場には混乱が広まっている。自民党の教育再生実行本部は、「大学において、従来の入試を見直し、実用的な英語力を測るTOEFL等の一定の成績を受験資格および卒業要件とする」という提案を実施させようとしている。シンポジウムでは、英語の言語差、文法的な仕組みの違いも踏まえて、「日本の英語教育のあるべき姿」を明らかにしたい。

シンポジウム概要

大谷講師:この国の言語教育の最大の問題点は、基本的な教育条件の改善にはほとんど手をつけず、ただひたすら教師の指導法の転換だけで言語教育の飛躍的な前進が可能であるかのように考える教育行政担当者の言語認識そのものである。この点を、ご一緒に検討してみたい。

江利川講師:大学入試や卒業要件にTOEFL等の高度な外部検定試験を導入する。黒幕は楽天などの超国家企業。自己の利益のために、国民教育を破壊してでも英語が使える「グローバル人材」の育成を公教育に要求する。その危険性を暴く。

成田講師:「コミュニケーション英語」への転換を図る文科省が「英語での授業」を実施しただけでなく、大学入試や卒業要件にTOEFLを導入する政治的な動きもあり、英語教育が崩壊の危機に瀕している。言語類型と習得理論、脳内処理の観点から、無謀な企ての欠陥を明らかにしたい。

佐渡講師:「英語で授業」が開始され、想定内外の問題が浮かび上がってきた。生徒不在の事態を避けるため、我々英語教師に何ができるのかを、幾つかの高校の取り組み例を基にその打開策を模索したい。

松岡講師:企業では、常に英語での意思疎通を求められる訳ではない。英語が必要な状況で本当に使え、業務を通じて会社に利益をもたらす人材が大切だ。仕事が分かった上での英語運用能力が問われるのだ。

更新日:2013/05/28

英語教育総合学会の皆様へのお願い

7月もしくは8月に開催予定のシンポジウムにおいては、(下記のような)最近の英語教育行政の動向の中で、「英語で授業」が実施されて以降の学校の現場での状況を高校の先生方に15分ほどご報告いただきたいと存じます。6月12日頃までにご意向を連絡いただけないでしょうか。また、自民党の教育再生実行本部長の「高校卒業レベルは英検2級、TOEFL45点ぐらいなので、それを目指す」とし、さらに「まずは、センター試験から英語をやめ、TOEFL一本にする」という提案(朝日新聞「争論―大学入試にTOEFL―」(2013年4月8日))についても問題点を討議したいと存じます。
会長 成田一(大阪大学名誉教授)

★★★★

「英語が使える日本人の育成」を掲げ、「コミュニケーション英語」への転換を図ってきた文科省が、(教職課程で音声学を必修にしていないなど、)発音教育を疎かにしたままで、中央教育審議会の外国語専門委員会の審議も経ないで、「英語の授業は英語で行なう」という指針を示した。「コミュニケーション英語」への転換と「ゆとり教育」によって顕著に英語力が低下したが、「ゆとり」からの脱却後まもなく、成果がまだ何も出てない中で、25年度4月より公立高校では、「英語で授業」の方針が実施されたばかりで、学校によっては授業の崩壊も危惧される状況だ。それなのに、自民党の教育再生実行本部の「成長戦略に資するグローバル人材育成部会提言」(2013年4月8日)では、「大学において、従来の入試を見直し、実用的な英語力を測るTOEFL等の一定の成績を受験資格および卒業要件とする」とし、国公立トップ30校の卒業要件をiBT 90点にすることを提言している。文科省の設置した「外国語能力の向上に関する検討会」がまとめた指針(2012年6月)では、高校生が卒業時に英検準2級から2級となっているが、現実には高校3年生で英検準2級以上が約36%に留まる。ちなみに、教師に求められた英検準一級、TOEFL550点(iBT 80点)の指針に達しているのは、中学で28%、高校で53%に留まる。自民党案は一般大学生の卒業要件をiBT 90点にするというのだから、英語教師よりもかなり高い基準を設定しているのだ。正に、政治によって荒唐無稽な教育目標が設定され、英語教育が崩壊の危機に晒されている。