日時:11月16日(日)13:00-17:00
場所:大阪大学大学院言語文化研究科新棟大会議室
(豊中キャンパス:HP参照)
シンポジウム「英語教育を学習基盤から考える」
コーディネータ・司会:成田一(大阪大)
竹内理(関大)「英語教育と学習方略-脳内基盤と方略指導を巡って-」
山岡俊比古(兵庫教育大)「英語教育における認知基盤」
玉井健(神戸外大)「英語教育における音韻処理
-シャドーイングによるリスニング指導-」
休憩(10分)
本田勝久(大教大)「英語教育における学習意欲」
成田一(大阪大)「日本に相応しい英語教育-外国語習得機構を踏まえて-」
休憩(10分)
総合討論&質疑応答(60分)
参加費:300円(飲料提供)参加資格:なし、一般の方の参加自由。
(ご参加の方は直接会場にお越しください。)
問い合わせ・発表申し込み:大阪大学大学院 成田研究室
email: narita@lang.osaka-u.ac.jp
研究会年会費:無料。研究会への会員登録希望の方はお名前とご所属をメールで連絡ください。毎回(4-7月、9-12月に各1-2回)詳しい発表内容を配信します。
懇親会:17:30-19:00
場所:大阪大学大学院言語文化研究科旧棟大会議室
費用:教員-1000円 院生-800円(予定)
講演概要
「英語教育と学習方略—脳内基盤と方略指導を巡って」 最近の学習方略研究では、その脳内基盤を探る試みと、方略指導の方法を巡る研究に注目が向かっている。そこで、今回の発表では、前者の脳内基盤に関わる研究についての最新の知見を紹介したのち、それらの知見を踏まえて、方略指導の有効性についても、メタ認知、自発性、そして社会性という切り口から、考察を加えていくことにしたい。
「英語教育における認知基盤」 言語学習の中核はその言語の文法の学習にあるが、その文法はその言語の形式と意味をつなぎ止める認知システムであると把握できる。外国語としての英語の学習において、そのような意味での英語の文法を学習することについて、その促進を図るために必要となる基本的認識と方法論的な可能性について議論する。
「英語教育における音韻処理—シャドーイングによるリスニング指導—」 ワーキングメモリモデルは、リスニングにおけるダイナミックな認知処理過程に目を向けさせるきっかけとなったが、シャドーイングの基本的特徴としての繰り返しは、言語処理過程だけでなく言語の発達過程においても一定の意味を持つようだ。本発表では、シャドーイングの研究や指導経験で気がついたことをもとに、「プロソディ」を含め、リスニングを少し多面的に考えてみたい。
「英語教育における学習意欲」 近年、学習者の心理的な特徴と言語学習との関わりをより科学的に解明しようとする理論やモデルが登場し、その代表的なものとして、WTCやSDTなどが挙げられる。本発表では、これらのモデルを紹介し、英語教育における学習者の心理的欲求と学習成果との関係を探ることによって、学習者の学習意欲に影響を与えているものを明らかにしたい。
「日本に相応しい英語教育—外国語習得機構を踏まえて—」 言語コアをシェアする欧州言語を母語とする学習者は臨界期の壁を越えて英語を自動運用できるが、日本語を母語とする学習者にはできない。運用における普遍制約UGは、英文法がシステムとして定着する習熟段階までは適用されず、母語の干渉による化石化も起こる。発表では、言語差に関わる困難を踏まえ、日本における英語教育を学習の時期と方略と内容(文法、読・聴解)について検討する。
プロフィール
竹内理 関西大学大学院外国語教育学研究科・外国語教育研究機構教授。博士(学校教育学)。JACET代議員、LET関西支部長。英語教育学(学習者要因、学習・教授方略)、教育メディア学専攻。主な著書:『より良い外国語学習法を求めて』(松柏社)、『達人の英語学習法』(草思社)『CALL授業の展開』(松柏社)、論文:Applying strategies to context: The role of individual, situational, and group differences. In A. Cohen & E. Macaro (Eds.) Language Learner Strategies(OUP)など。
山岡俊比古 兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授。博士(教育学)。英語教育学専攻。第2言語習得研究を軸に、おもに教室における文法指導のあり方を研究。主著:『第2言語習得研究(新装改訂版)』(桐原ユニ)、A Study of the Catalytic Interface Position in Second Language Learning(多賀出版)。
玉井健 神戸市外国語大学国際関係学科・大学院英語教育学専攻教授。博士(学術)。研究分野はリスニング指導法、リフレクティブ・プラクティスをベースにした教師教育など。著書:『リスニング指導法としてのシャドーイングの効果に関する研究』(風間書房)、『はじめてのシャドーイング』(学研)、『決定版英語シャドーイング』(コスモピア)など
本田勝久 大阪教育大学教育学部准教授。英語教育学専攻。第二言語習得における学習者要因、主に動機づけの新しい枠組みを研究。関西英語教育学会(事務局長)、外国語教育学会(理事)。著書:『スペシャリストによる英語教育の理論と応用』(共著)松柏社、『英語教育・英語学習研究 現場型リサーチと実践へのアプローチ』(共著)桐原書店。
成田一 大阪大学大学院言語文化研究科教授、日英語構造、機械翻訳の言語処理、英語教育と基盤分野を研究。英語教育総合研究会代表、(阪大)言語教育談話会代表、情報通信技術研究交流会運営委員。著書:『パソコン翻訳の世界』(講談社)、共著:『名詞』(研究社)、『日本語の名詞修飾表現』(くろしお出版)、『私のおすすめパソコンソフト』(岩波書店)、編著:『こうすれば使える機械翻訳』(バベルプレス)、『英語リフレッシュ講座』(大阪大学出版会)など。