更新日:2019/04/14

第16回 英語教育総合学会

日時:6月8日(土)11:00-15:20
場所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス K.G.ハブスクエア大阪 10F

シンポジウム
4技能入試は英語教育をどう変えるか

コーディネーター&コメンテーター 成田一(大阪大学)

特別講演「どんな時に日本語での指導が必要になるか」白畑知彦(静岡大学)

「4技能入試に対応するための指導-行うべきでない指導と行うべき指導」鈴木寿一(桃山学院教育大学)

「高校教員が活かせる4技能入試の波及効果」溝畑保之(常翔学園中学校・高等学校)

「第二言語(英語)の流暢性(fluency)獲得の観点から:4技能入試への期待」門田修平(関西学院大学)

「資格試験対策-社会的需要および実用性を踏まえて」蔦田和美(関西外国語大学)

全体討論


参加費:500円、どなたでも参加可能。一般の方歓迎。直接会場にお越し下さい。
連絡/問い合わせ 事務局 orchid-e [AT] kcc.zaq.ne.jp (メール送信の際は [AT] を @ に変更してください)

シンポジウムの理念

大学入学共通テストでは、4技能を総合的に評価できる問題の出題(例えば記述式問題など)や民間の資格・検定試験の活用を行う。多くの高等学校においては対策指導が始まっている。シンポジウムにおいてはその現状と問題点を報告・検討するほか、運用の心理ならびに論理的な展開のメカニズムなども踏まえ、効果的な英語運用力の向上を提案したい。特別講演では、高度な内容や文法など英語だけではできない日本語による指導の効果について実証研究を報告する。

講演概要

白畑講師:授業での教師の発話を質的な面から2種類に分けてみる。1つ目は、話す中身が比較的簡単なもの。ここには挨拶や点呼、small talk、指示出しなどが含まれる。2つ目は、話す中身が比較的高度なもの。ここには新出単語や熟語の説明、教科書本文の内容や背景的説明、新出文法項目の説明などが含まれる。後者に焦点を当て日本語の使用について考えてみたい。

鈴木講師:4技能入試対策指導が多くの学校で始まっているが、不適切な指導が多いようだ。シンポジウムでは、①現在行われている対策指導の実態とその問題点、②4技能入試になっても、英語力向上に関して残る問題点を論じた後、①と②をふまえて、効果的に学習者の英語力を向上させるために高校が行うべき指導を提案する。

溝畑講師:21世紀を生きる若者に「主体的、対話的、深い学び」が求められている。ほぼ一技能で、MCQや翻訳型の入試対策に偏重する高校英語教育が改善される。アクティブ・ラーニングの肝である「外化」はスピーキングだ。それは多量で豊かなインプットに基づく、頻度と難易度において適切なアウトプット活動であるべきだ。 

門田講師:4技能入試に必要な流暢性について、①コミュニケーションにおける擬似多重処理、②心理言語学的能力、の2点から考察し、この②の能力をいかにして獲得するかについて、プライミング効果を担うプラクティスの重要性、さらに脳内に最終的に蓄積すべきフォーミュラの役割について考察したい。

蔦田講師:試験は評価手段であり、結果自体が目的になりがちだが、目標に向かう過程が及ぼす波及効果に意義を求めるべきである。各種資格試験においても、言語的理解力および運用力に加えて、意見の主張、議論、提案、交渉などの論理的展開能力が必須だ。これらの両面を備えた英語使用者の育成を視野に対策を考えたい。